八咫烏とは ― 神武天皇を導いた「神の道しるべ」の正体

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熊野の山々に、深い霧が立ちこめていました。
道を失い、進むべき方角さえ見えなくなった神武天皇(じんむてんのう)の軍勢。

そのとき、霧の向こうから一羽の黒い影が現れます。

三本の足を持つ、不思議な烏。 その名は――八咫烏(やたがらす)

神武天皇を大和へと導いた“神の道しるべ”は、いったい何者だったのでしょうか。

この記事では、八咫烏の神話・祀られている神社などをわかりやすく紐解いていきます。

 

はじめにー八咫烏とは

咫(あた)は長さの単位で、親指と中指を広げた長さ(約18cm)のことで、

八咫は144cmとなりますが、ここでいう八咫は単に「大きい」という意味です。

 

 

八咫烏の基本プロフィール

名     前

  • 八咫烏(やたがらす)

種     族

  • 霊鳥(神の使い)

キャッチコピー

  • 「迷いを断ち切り、正しい道へ導く“神のナビゲーター”」

性     格

  • 冷静沈着:どんな状況でも慌てず、静かに道を示す
  • 寡黙:言葉をあまり発さず、行動で導くタイプ
  • 忠誠心が強い:神武天皇を使命として導く
  • 観察力が鋭い:地形・気配・危険を瞬時に察知
  • 中立的:特定の勢力に偏らず、神意に従う

象     徴

  • 三本足:太陽・完全性・調和
  • 黒い羽:神秘・霊性
  • 導き:人生の道標、勝利への案内
  • 太陽の化身:光をもたらす存在

 

 

神武東征と八咫烏の導き

神武東征の途中、神武天皇の軍は熊野から大和へ向かう険しい山中で、道がわからなくなります。

困っていると、天照大神(あまてらす)〔または高木神(たかぎしん)]が夢に出てきて、
授けてくれたのが八咫烏

この八咫烏の導きにより、神武天皇の軍は正しい道を知り、
無事に大和につくことができました。

八咫烏の導きがなければ、神武天皇は大和へ辿り着けなかったかもしれません。

つまり八咫烏は、日本建国の物語を陰で支えた“影の主役”とも言える存在です。

 

 

なぜ八咫烏は三本足なのか

「古事記」や「日本書紀」には、八咫烏は三本足だという記述はありません。

では、なぜ三本足だといわれるようになったのでしょうか。

いくつかの説がありますが、ここでは代表的な説を解説していきます。

 

中国神話の「三足烏(さんそくう)」が起源とする説

中国の神話では、太陽の中に棲む鳥「三足鳥」がいると伝えられています。

その鳥は、太陽の力の象徴です。陰陽五行説では、「二」は陰を表し「三」は陽を表します。

よって、太陽の中に棲む鳥を三本足としたと考えられます。

日本神話の天八咫烏も、天照大神(太陽神)の使いであることから太陽の霊鳥であるという
連想をもとに、三本足になったという説です。

 

太陽の三つの顔を表している説

太陽の一日の変化、つまり朝日・昼間・夕方を表しているという説です。

 

天・地・人を表している説

熊野本宮大社では、八咫烏の三本の足は、天(すべての神々)・地(自然環境)・人
を表すとされています。

それは、神と自然と人間が、同じ太陽から生まれた兄弟であることを示しているという説です。

 

熊野三党を表している説

かつて熊野地方で勢力を持っていた、榎本氏・宇井氏・藤伯鈴木氏を表しているという説です。

 

 

高杉晋作の都々逸

江戸時代の末期、維新の志士・高杉晋作は有名な都々逸を作っています。

三千世界の鳥を殺し、主と朝寝がしてみたい」

熊野の牛玉宝印の札の裏に書いた約束を破ると、熊野のカラスが死に、
約束を破った本人も罰を受けるといわれています。

つまりこれは、
「他の男たちとの約束を全て破り、熊野のカラス全てを死なせてしまうことになっても、
 お前(遊女)と朝寝をしたい」
と自分の命を懸けた思いを表現したものです。

 

 

現代の八咫烏:サッカー日本代表のシンボル

八咫烏は現代でも広く知られています。 特に有名なのが サッカー日本代表のエンブレム

1931年(昭和6年)、大日本蹴球協会(現・日本サッカー協会)が設立される際、
漢文学者の内野台嶺らの発案により、八咫烏がシンボルとして採用されました。

なぜサッカーと八咫烏が結びついたのかというと、 「導きの象徴」である八咫烏が、
“ボールをゴールへ導く” というイメージと重なったためだそうです。

今でも日本サッカー協会は、ワールドカップなどの大会前に熊野三山で必勝祈願を行っています。

 

 

八咫烏を祀る神社

熊野那智神社(和歌山県那智勝浦町)

■御祭神

  • 八咫烏(やたがらす)

神社の特徴

  • 延喜式に「三足烏 日之精也」と記される
  • 熊野詣の証として授与される「烏牛王神符(からすごおうしんぷ)」が有名
  • 正月には若水を使った「牛王神璽摺初式」が行われる伝統の深い社。

ご利益

  • 導き・交通安全・厄除け・勝利祈願・旅の安全

 

八咫烏神社(奈良県宇陀市)

御祭神

  • 建角身命(たけつぬみのみこと)/八咫烏大神

神社の特徴

  • 創建は慶雲2年(705年)と伝わる古社
  • 神武東征ゆかりの地・宇陀に鎮座し、物語の舞台に近い
  • 南北朝時代には後醍醐天皇の信仰で栄えた歴史を持つ
  • 日韓共催FIFAワールドカップを記念したサッカーボールを頭の上に載せた八咫烏の像がある

ご利益

  • 導き(人生、進路、仕事)・交通安全・必勝祈願・厄除け

 

熊野本宮大社(和歌山県田辺市)

御祭神


神社の特徴

  • 大斎原(おおゆのはら)に残る“元の本宮”
  • 熊野古道の終着点:中辺路・大辺路・小辺路・伊勢路などの熊野古道が本宮へと収束します
  • 境内に「八咫烏ポスト」があり、投函できる「八咫烏ポスト絵馬」が販売している

ご利益

  • 人生の導き(進路、仕事)・厄除け・浄化・再生・交通安全・必勝祈願・心身の癒し

 ★今度の休日、正しい道へ導いてくれる八咫烏に、会いに行ってみてはいかがでしょうか。

 

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。

神武天皇を大和へ導いた八咫烏は、古代から“正しい道へ導く力”の象徴として
語り継がれてきました。

三本足の霊鳥という不思議な姿は、熊野の山々に息づき、今も私たちに静かに寄り添い、
迷いの中に光を示してくれているかのようです。

八咫烏の物語は、ただの神話ではなく、
人生の岐路に立つときに思い出す“導き”の象徴でもあります。

またお会いしましょう。

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