大国主神(おおくにぬしのかみ)は、日本神話に登場する「国造りの神」。
因幡(いなば)の白兎の伝説や国譲りの神話で知られ、
出雲大社の主祭神として祀られています。
人間味あふれる彼の生涯はどんなものだったのでしょうか。
この記事では、その彼の物語をわかりやすく紐解いていきます。
はじめにー大国主命とは
名前の由来について説明します。
これは、有力な説だといわれてるものです。
「大(おお)」:偉大な・広大な
「国(くに)」:地上世界・葦原中国
「主(ぬし)」:支配者・当事者・長
「命(みこと)」:尊称
◎つまり”大いなる国(葦原中国)を治める偉大な支配者”という意味になります。
大国主命の基本プロフィール
{名 前}30以上の名前を持つ(一部紹介)
- 大国主神(おおくにぬしのかみ)〔根国から帰ってからの名〕
- 大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)
- 葦原色許男神(あしはらしこを)
- 大己貴命(おおなむち)
- 於褒婀娜武智(おほあなむち)
- 大穴持命(おおあなもち)など
{系 譜}
- 父:天之冬衣神(あめのふゆきぬのかみ)『古事記』
- 父:素戔嗚命(すさのおのみこと)『日本書紀』
- 母:刺国若比売(さしくにわかひめ)『古事記』
- 母:奇稲田姫(くしなだひめ)『日本書紀』
{妻と子(数多くいるので一部のみ)}
●嫡后:須勢理比売命(すせりびめのみこと)〔須佐之男命の娘〕
子:なし
●妻:多紀理毘売命(たぎりびめのみこと)〔須佐之男命の娘〕
子:阿遅鉏高日子根神(あじすきたかひこねのかみ)
子:下照比売命(したてるひめのみこと)
●妻:神屋楯比売命(かむやたてひめのみこと)
子:事代主命(ことしろぬしのみこと)
●妻:八上比売(やがみひめ)
子:木俣神(きのまたのかみ)
●妻:沼河比売(ぬなかわひめ)
子:建御名方神(たけみなかたのかみ)など
{キャッチコピー}
- 「優しさと知恵で国を築き、未来を託した神」
{性 格}
- 温厚で思いやり深く、弱き者を見捨てない
- 試練に耐え、何度でも立ち上がる不屈の心
- 恋に誠実で、愛する者を守る勇気を持つ
- 争いを避け、調和を選ぶ賢明なリーダー
🌪 八十神とのエピソード ― 大国主命を鍛えた「嫉妬と試練」

八十神(やそがみ)とは大国主命の兄弟神たちのことで、
実際に80柱いるわけではありません。
彼らは、大国主命に嫉妬し彼を苦しめます。
しかし結果的に大国主命は、彼らからの試練により成長していきます。
ここでは、どのようにして試練を克服していったのかを説明していきます。
🐇 因幡の白兎 (いなばのしろうさぎ)― 優しさが際立つ最初の対立
ある日八十神たちは、因幡の国(鳥取県東部)に八上比売(やがみひめ)
という名の美しい姫がいることを聞き、求婚するために因幡に向かいます。
道中に大けがをした白兎と会い、八十神は嘘の治療法を教えて兎をさらに苦しめました。
荷物持ちをさせられてあとから来た大国主命が、正しい治療法を教えて助けてあげました。
白兎はこの時、
「八上比売が選ぶのはあなた(大国主命)です」
と予言します。そして、その予言通り八上比売は大国主命を選んだのです。
🔥 八十神による殺害(1回目) ― 焼けた岩の罠
白兎の予言通り八上比売が大国主命を選んだため、八十神は激しく嫉妬します。
彼らは、大国主命を殺害することにしました。
八十神は大国主命に「赤い猪を捕まえてこい」と命じます。
実はそれは、真っ赤に焼いた大岩だったのです。
捕まえに行った大国主命は、大岩に押しつぶされて死んでしまいます。
しかし、母神が天津神・神産巣日神(かむむすひのかみ)に助けを求めて
生き返ることができました。
🌋 八十神による殺害(2回目) ― 木の罠
蘇った大国主命に対し、八十神は再び殺害を企てます。
八十神は、大木を割って楔(くさび)を打ち、大国主命にその間に入らせました。
その瞬間楔を抜いて木を閉じさせ、圧死させたのです。
しかし、再び母神が天津神に助けを求めて生き返ります。
🌑 八十神の最期
生き返った大国主命は、八十神からの迫害から逃れるため、
須佐之男命(すさのおのみこと)のいる「根の国」へ行きました。
そこで彼は、須佐之男命からの様々な試練を乗り越え、
”弱い神”から”国を治めるに値する強い神”となりました。
そして、妻となった須佐之男命の娘須勢理毘売(すせりびめ)と一緒に戻ってきます。
その頃、八十神の悪行が知られるようになっていました。
大国主命は、須佐之男命からもらった神器を使い、八十神を出雲の国から追放します。
彼は、地上を治める神へと成長した姿を皆に見せたのです。
🌏大国主命の国づくり― 少彦名命と歩んだ創造の物語

八十神が出雲の国を追放した後、いよいよ始まる国造り。
その壮大な計画に少彦名命(すくなひこなのみこと)も力を貸します。
ここでは、どのように国づくりを行ったのかをくわしく説明していきます。
国の荒ぶる神々を平定する(国の安全を整える)
まず最初に行ったのは、”荒ぶる神”たちを鎮めること。
荒ぶる神とは、自然災害や疫病を起こすとされる神たちです。
秩序を乱し人々を脅かす存在である荒ぶる神たちを大国主命は、
時に戦い、時に話し合いで説得していきます。
そうして徐々に国の秩序を整えていきました。
少彦名命(すくなひこなのみこと)との共同統治
少彦名命は、「常世の国」から来た身体の小さな神。
医療・呪術・農耕・酒造などの知識を豊富に持っていた神です。
二柱は協力して、農業の知識を広める・病気の治療法を伝えるなどして、
人々の暮らしを豊かにしていきました。
まさにこの二柱は、”文明の基礎を築いた神々”だといえます。
少彦名命の離脱(常世へ帰る)
国造りが進む中、少彦名命は突然常世の国へ帰ってしまいます。
大国主命は深く悲しみましたが、国造りを途中でやめることはできません。
彼は単独で国づくりを続けます。
- 山・川・海の神々を配置
- 農耕・医療・祭祀の仕組みを整える
- 国の秩序を完成させる
これらすべての基盤を整えて、国造りは完成しました。
国の完成と“国譲り”への道
国造りが終わった後、天照大神(あまてらす)から使命を授かった、
建御雷神(たけみかづちのかみ)が下りてきて、天の秩序による統制を求めてきます。
即決できなかった大国主命は、まず自分の子と話をさせます。
息子の事代主命(ことしろぬし)・建御名方神(たけみなかたのかみ)は、
天津神に譲るという判断をし、大国主命もその判断に同意しました。
ただ一つだけ条件を出しました。
それは自分を祀るための壮大な宮(出雲大社)を建てることでした。
天孫降臨は、武力による敗北ではなく、次世代のために統治権を放棄した。
その代わりに彼は、霊的存在として残り続けることを選んだのでしょう。
🌏 大国主命を祀る神社 ― 国づくりの神を訪ねる旅

日本神話の中心に立つ大国主命。
国づくり・縁結び・医療・農耕・商売繁盛など、
多彩なご神徳を持つこの神を祀る神社は、全国に数えきれないほど存在します。
その中でも代表的な神社を、紹介します。
🏯 出雲大社(島根県)― 大国主命の総本社
■ ご祭神
- 大国主命(おおくにぬしのみこと)
■ 神社の特徴
- 国譲りの際、大国主命が「自分を祀る巨大な宮を建てよ」と条件を出した場所
- 日本最大級のしめ縄
- 古代には高さ48mの巨大本殿があったと伝わる
■ ご利益
- 縁結び(日本一の聖地)・仕事運・事業繁栄・家内安全・厄除け
🌄 倭文神社(鳥取県)― 大国主命の“国づくりの舞台”
■ ご祭神
- 大国主命(おおくにぬしのみこと)
- 建葉槌命(たけはづちのみこと)―古代織物「しとり(倭文)」の神
- 下照姫命(したてるひめ)
■ 神社の特徴
- 因幡の白兎の舞台に近い
- 大国主命が八上比売を迎えた地として伝わる
- 「安産岩」などの霊験スポットが境内に存在
- 境内の「織殿岩」はインスピレーションが湧く場所として人気
■ ご利益
- 安産・夫婦和合・縁結び・仕事運・商売繫盛・芸道上達・技術向上など
🌾 大神山神社(鳥取県)― 大国主命の“国づくりの拠点”
■ ご祭神
- 大国主命(おおくにぬしのみこと)〔大己貴命〕
- 須佐之男命(すさのおのみこと)
- 少名毘古那神(すくなひこなのかみ)
■ 神社の特徴
- 荘厳な参道と社殿は「出雲国の奥宮」と呼ばれる
- 奥宮並下山神社本殿などの建造物が国重要文化財有形建造物に指定
- 古式祭”もひとりの神事”が有名
- ご神体とする大山は、大国主命の国づくりの拠点といわれている
■ ご利益
- 厄除け・国土安泰など
◎基本的なご利益は共通していますが、神社ごとに「特に強いご利益」
は異なります。
今度の休日に訪れてみてはいかがでしょうか。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
大国主命の物語は、試練と再生、そして「人々を・国を守る力」がどのように
形づくられていったかを示す象徴的な神話です。
国造りの苦難、兄神たちの嫉妬、根の国での再起、
そして国を天津神へ譲るという決断。
そのすべてが、柔らかさと強さを併せ持つ大国主命の魅力なのです。
彼の国づくりの旅を感じてくれたらうれしいです。
またお会いしましょう。


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