高天原が闇に包まれたとき、神々の前に静かに立ち上がった一柱の神がいました。
その名は思金神(おもいかねのかみ)。
深い思慮と先見の明を兼ね備え、天照大御神(あまてらすおみのかみ)を天岩戸から
導き出した“高天原の参謀”です。
本記事では、思金神の名前の由来、家系、神話での役割など、彼の物語を分かりやすく
丁寧に解説します。
💡思金神を祀る神社のご利益は?御朱印、アクセス方法なども以下の記事にまとめました。合わせてご覧ください。
⬇️ [関連記事:【神話解説】天照大神の銘参謀・思金神の神社紹介]
思金神の基本プロフィール
名前の由来
名前の由来について説明します。表記が多少異なるので、順に説明していきます。
「思金神」→『古事記』 「思兼神」→『日本書紀』
- 「思(おもい)」:思慮・熟考
- 「金(かね)」:堅固さ・確かなもの
- 「金・兼(かね)」:兼ね備える、確かなもの
「常世思金神」→『古事記』 「八意思兼神」→『先代旧事本記』
- 「常世(とこよ)」:永遠・未来を見通す知恵
- 「八意(やごころ)」:多くの思慮を持つこと
★つまり神名は、”多くの思慮を兼ね備えた、ゆるぎない知恵の神”という意味になります。
表記と呼び名
- 思金神(おもいかねのかみ)『古事記』
- 常世思金神(とこよのおもいかねのかみ)『古事記』
- 思兼神(おもいかねのかみ)『日本書紀』
- 八意思金神(やごころのおもいかねのかみ)『先代旧事本紀』
- 八意思兼神(やごころのおもいかねのかみ)『先代旧事本紀』
キャッチコピー
- 「高天原の参謀長—八意の知恵で未来を照らす神」
家族構成
◆兄弟姉妹
- 万幡豊秋津師比売命(よろづはたとよあきづしひめのみこと)
※天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)の妻 - 三穂津姫(みほつひめ)ー『日本書紀』
- 少彦名命(すくなひこなのみこと)ー『日本書紀』
◆子
- 天表春命(あめのうわはるのみこと)
- 天下春命(あめのしたはるのみこと)
- 天手力男神(あめのたぢからおのかみ)
性格
- 冷静沈着:混乱の場面でも最善策を導く
- 先見性がある:未来を見通す「常世」の性質
- 調停役:神々の合議をまとめる
象徴
- 知恵・判断力・未来予知・祭祀・政務の統括
神話でのエピソード

天岩戸神話
天照大神(あまてらす)と弟・須佐之男命(すさのおのみこと)
との誓約のあとのこと。
須佐之男命は乱行を繰り返し、天照大神は恐れて岩戸に隠れてしまいます。
すると世の中は、闇に包まれ禍が起きるようになりました。
困った八百万の神々は、天の安河の河原に集まり、どうすれば天照大神に出てきてもらえるのかを相談します。
様々な意見を聞いていた思金神は、自分の案を告げます。
「天照大神に出てきてもらうために儀式を行おう」
まず、八咫鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのかがたま)を作らせます。そして、常世の長鳴鳥(鶏)を鳴かせて新しい朝日(太陽神)が現れたと天照大神に思わせました。
次に、天宇受賣命(あまのうずめ)が岩戸の前で踊り、それを見ていた八百万の神々が一斉に笑い始めます。
これを聞いた天照大神は、
「太陽神である私が岩戸に隠れて暗闇になっているのに、なぜ外は楽しそうなのか」
と不思議に思い、天岩戸を少し開けて覗いてみます。
「新しい太陽神が現れたので皆が喜んでいるのです」
そう言って、八咫鏡を天照大神の前に置きました。
自分の姿だと気づかない天照大神は、もっとよく見ようとさらに天岩戸から出てきます。
その時を待っていた天手力男命(あめのたぢからおのみこと)が、
怪力で岩戸を開き、天照大神を引き出すことに成功しました。
こうして思金神の思慮が、再び世の中に光を取り戻したのです。
葦原中国平定
高天原(天界)に住む天照大神は、
「葦原中国は、天津神(天界の神)が治めるべきだ」と、考えていました。
天照大神と高木神(たかぎのかみ)は、神々を集めて誰を地上に派遣すべきか
決めさせます。ここでも中心的な役割をしたのが思金神。
彼は、神々の意見をまとめて派遣する最適な神の選定を行いました。
このように天照大神の参謀として彼は、重大な役割を果たしていたのです。
天孫降臨
邇邇芸命(ににぎのみこと)が天孫降臨をする際、思金神は随伴して地上に降ります。
さらに、天宇受売命・天手力男神など、天岩戸で活躍した神も随伴します。
これは、天岩戸での活躍を天照大神が、高く評価したからでしょう。
特に思金神は、その深い思慮に天照大神から全幅の信頼を寄せられていました。
思金神は天照大神から、
「私の心を思金神の知恵とあわせて政(まつりごと)を行いなさい」
という言葉を賜ったといわれています。
その信頼に応えるため彼は、地上で政務・祭祀を補佐する役目を十分に果たしました。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
高天原の知恵を司り、数々の難事を導いてきた思金神。
八意の知恵は、古代だけのものではありません。
今を生きる私たちにも寄り添い、迷いの中に小さな光を灯してくれます。
迷いに立ち止まるとき、決断に揺れるとき、 ふと耳を澄ませば、
思金神はそっと背中を押してくれるかもしれません。
あなたの歩む道にも、確かな答えが見つかりますように。
またお会いしましょう。
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